マルタの独立系ガイド
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マルタでワイナリー見学:半日使う価値があるのは、どれ?

マルタにワイナリーはあります。見学できるのは3社で、Delicataは25ユーロ、Marsovinは60ユーロ、Meridianaは畑を歩けます。予約必須、当日受付なし。どれを選ぶべきかを整理しました。

文:Ken(セントポールズベイ在住)公開日: 2026年7月17日

マルタにワイナリーはあります。そして、ちゃんと見学できます。訪問者を受け入れているのは3社です。Delicata(デリカータ)は25ユーロ(約4,500円)で、着席式のテイスティング60〜90分。Marsovin(マルソヴィン)は60ユーロで75分、築400年のセラーで4〜6種を料理と合わせます。Meridiana(メリディアーナ)は約2時間の見学で、予約は電話かメールのみ。

先に結論を書きます。迷ったらDelicataです。 いちばん安く、内容はきちんとしたテイスティングで、英語で進行します。セラーと料理のペアリングが目当てで、倍以上の料金を払ってもいいならMarsovin。「ブドウ畑を歩きたい」のであればMeridiana。3社のうち、それができるのはここだけです。

この記事の要点

Delicata Marsovin Meridiana
料金 25ユーロ(税込) 60ユーロ 非公開(予約時に確認)
所要時間 60〜90分 約75分 約2時間
内容 ワイン5種、マルタのパン、オリーブオイル ワイン4〜6種+地元料理のペアリング 発酵室・地下セラー・テラスでの試飲
場所 パオラ パオラ(築400年のセラー) タ・カーリ
予約 予約のみ・当日受付なし 事前予約必須 電話・メールのみ(Webフォームが停止中)
営業 応相談 火・木 11:30/見学は月〜金 11:00〜14:30 月〜金 9:00〜17:00、土は要相談。日曜・祝日は休み

引っかかりやすい点が2つあります。17歳以上でないと参加できません(マルタの飲酒可能年齢。Delicataは実際に確認します)。そして3社とも当日受付はありません。 予約なしで行くと、門の前に立つだけで終わります。

そもそも、マルタでワインを造っているのか

観光客向けに最近つくられた産業ではありません。

Marsovinの創業は1919年(当時の社名はA. & G. Cassar、1956年にMarsovinへ改称)。いまはマルタ最大の生産者で、年間およそ200万本を出荷しています。Delicataも同じパオラにあり、創業は1907年。Meridianaは1987年創業と新しく、マーク・ミチェリ=ファルジャ氏が、第二次大戦中の飛行場跡地19ヘクタール(タ・カーリ)に興しました。年産は約14万本。つまり、小規模で、意図のある、エステート型のワイナリーです。

原産地呼称の制度もあります。D.O.K. MaltaとD.O.K. Gozoは、それぞれの島で育ったブドウを使ったワイン。I.G.T. Maltese Islandsはもう少し広いカテゴリーです。マルタ政府観光局は winesofmalta.gov.mt でワインの公式ポータルと「ワイン・トレイル」を運営しています。ここまで整備するのは、遊びの産業ではありません。

マルタワインは、どんな味なのか

固有品種が2つあります。同じリストに載っている輸入シャルドネではなく、マルタのワインを飲む理由は、この2つです。

ギルジェンティーナ(Girgentina)が白。おそらくフェニキア時代にシチリアから渡ってきて、そのまま根づいた品種です。ジェッルウーザ(Ġellewża)が赤。どちらもフィロキセラ(19世紀にヨーロッパのブドウ畑をほぼ壊滅させた害虫)に天然の耐性を持っています。ヨーロッパのブドウとしては、かなり珍しいことです。

そして両方とも暑さに強い。数千年ぶんのマルタの夏に慣れているからです。マルタでワインを頼むなら、このどちらかを。ギルジェンティーナかジェッルウーザなら「いまマルタにいる」ことが味でわかります。マルタ産メルローでは、「メルローは世界中で育つ」ということしかわかりません。

どれを予約するか

Delicata — 25ユーロ。まずここ。 D.O.K. Malta、D.O.K. Gozo、I.G.T.の各カテゴリーからワイン5種。マルタのパンとエクストラバージン・オリーブオイルが付きます。着席・屋内・英語進行で60〜90分。定員18名なので、団体バスではなく、きちんとしたテイスティングです。予約はメールのみ([email protected])、料金は事前にオンラインで支払い、返金はありません。日程を確定してから申し込んでください。

Marsovin — 60ユーロ。セラーにお金を払う。 約75分、ワイン4〜6種を地元料理と合わせます。舞台は築400年のセラー。追加の35ユーロは、この空間への対価です。「ワインの午後」に雰囲気を求めるなら、妥当な取引だと思います。設定枠は火曜と木曜の11:30、一般見学は月〜金の11:00〜14:30。事前予約が必要です。

Meridiana — 唯一、畑を歩ける。 約2時間で、発酵室、地下セラー、テラスでの試飲。実際に敷地を歩けるエステートは、3社ではここだけです。月〜金9:00〜17:00、土曜は要相談、日曜・祝日は休み。予約は電話かメールのみです。公式サイトのWebフォームは現在停止しているので、「フォームを送ったから伝わっているはず」と思わないでください。料金は非公開なので、予約時に確認を。

車がなくても行けるか

MarsovinとDelicataは、どちらもパオラにあります。ヴァレッタからバスの便がよく、スリーマ/セント・ジュリアン方面からも1回乗り換えれば着きます。

そしてパオラは、ハイポジウムがある町でもあります。あの取りにくいチケットが取れているなら(取り方はこちら)、午前に地下遺跡、午後にテイスティング、という半日がそのまま組めます。車は不要です。

面倒なのはタ・カーリのMeridianaのほうです。内陸のイムディーナ近くにあり、車があるとかなり楽になります。イムディーナに行く予定があるなら、そこに足せばいい。予定がないなら、バスの時間が「入場料」だと思ってください。レンタカーを借りるかどうかの判断そのものは、マルタでレンタカーは必要?にまとめています。

いちばん相性がいい組み合わせは、タ・カーリ+イムディーナの半日です。隣接しているので、「ブドウ畑のあとに静寂の街」という流れがきれいにつながります。

日本語のガイドはあるか

ワイナリー側のツアーは、いずれも英語での進行です。日本語で参加したい場合、マルタの現地手配会社SIT Maltaが日本語対応のワイナリー訪問を扱っているという情報があります(2時間・3種のテイスティングで120ユーロ程度、という記述を1件確認)。ただしこれは日本語の検索結果1件に基づく数字で、SIT社の公式ページでは確認できていません。 申し込む前に直接確認してください。

なお、マルタの飲酒可能年齢は17歳です。日本の20歳とは違うので、家族連れの場合はここを勘違いしないように。テイスティングは「静かに味わう会」であって、飲み放題ではありません。吐き出し用の容器(スピトゥーン)が置かれているのも普通のことです。全部飲み干す必要はまったくありません。

いつ行くか

ツアーは通年で動いているので、「行ってはいけない月」はありません。ただ、押さえておきたい日程が2つあります。

デリカータ・クラシック・ワインフェスティバル:2026年8月7〜9日、ヴァレッタのアッパー・バラッカ・ガーデンで開催される23回目のイベントです。入場は無料。26ユーロ(約4,700円)の「ワインパース」を買うと、コイン24枚と記念グラスが付いてきます。これはワイナリー見学とは別物で、屋外の、大勢が集まる社交的な夜です。それでも、26ユーロでマルタワインをまとめて飲めるという意味では、圧倒的に安い。旅程が重なるなら、テイスティングよりこちらをおすすめします。

9月は収穫期です。 ワイナリーがいちばん活気づく時期であり、同時にいちばん予約が取りにくい時期でもあります。思っているより早く動いてください。

タ・カーリのAgriFairは毎年4月に開かれ、入場券でMeridianaのブドウ畑ガイドウォークが無料で付いた年もあります。2026年は4月17〜19日で、すでに終了しています。来春の候補として覚えておいてください。

結局、行く価値はあるのか

ワインが好きなら、25ユーロならあります。ほかの土地ではほとんど育たない2つの品種を、「ワインを造っている」と誰も思っていない国で飲む。しかも、そこそこのディナーより安い。良い午後だと思います。

ワインに特別な思い入れがないなら、やめておきましょう。ここにあるのはテイスティングルームであって、風景ではありません。ワイン自体に惹かれないのなら、マルタにはもっといい午後の使い方があります。

シチリアのワインを知っている人は(シチリアはフェリーで日帰りできる距離です)、規模の期待値だけ下げてから行ってください。マルタのワイン産業はシチリアの何分の一かで、エステートも小さい。面白いのは規模ではなく、固有品種のほうです。そして何を予約するにせよ、味の記憶を決めるのはワインと同じくらい食事です。地元の人が実際に食べているものを読んでおくほうが、テイスティングルームより「マルタの味」がわかるかもしれません。

よくある質問

マルタのワインテイスティングは、行く価値がありますか?

Delicataの25ユーロ(ワイン5種)なら、あります。そこそこのディナーより安く、ギルジェンティーナとジェッルウーザという、ほかの土地ではほとんど育たない品種が飲めます。Marsovinの60ユーロは、築400年のセラーという舞台に価値を感じるなら妥当です。ワインにあまり興味がないなら、やめておいたほうがいい。ここは景色ではなく、テイスティングルームです。

マルタのワインといえば、何ですか?

固有品種2つです。白の**ギルジェンティーナ**(フェニキア時代にシチリアから渡ってきたとされます)と、赤の**ジェッルウーザ**。どちらもフィロキセラに天然の耐性があり、強い暑さに適応しています。ラベルの**D.O.K. Malta**/**D.O.K. Gozo**表記は、輸入ブドウではなく島で育ったブドウを使っている印です。

MeridianaやMarsovinに行くのに、車は必要ですか?

MarsovinとDelicataは不要です。どちらもパオラにあり、ヴァレッタからバスの便が良く、スリーマからも1回乗り換えで行けます。タ・カーリのMeridianaは、車があるとかなり楽です。内陸のイムディーナ近くだからです。現実的な解は、もともと予定しているイムディーナ観光にMeridianaを足すことです。

マルタのワインは、イタリアやシチリアのワインより高いですか?

テイスティングの料金自体は良心的です(Delicataの5種で25ユーロは、ヨーロッパの相場として妥当)。ただしマルタのワイン産業はシチリアに比べて非常に小規模で、生産量が少ないぶん、同等の品質のシチリアワインよりボトルは高くなりがちです。払っているのは「安さ」ではなく「希少性」で、固有品種こそがその理由です。 ---