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マルタ・セントポールズベイに住む|なぜ外国人が集まり、どんな人に向くのか

マルタ最大の町セントポールズベイは住民の63%が外国人。2ベッドの家賃は月€1,000台とスリーマより割安で、家族や退職者に人気です。向く人・向かない人、治安、日本人コミュニティの実際を在住者が解説します。

文:Ken(セントポールズベイ在住)公開日: 2026年8月9日

セントポールズベイとスリーマ/セントジュリアンズの比較。2ベッドの家賃は月€1,000〜1,300対€1,400〜1,800、購入指数は95.74(ほぼ全国平均)対約157〜161。セントポールズベイのほうが広く割安で家族向きです(2026年現在)。

マルタで「海が近くて、家賃が手ごろで、家族で暮らしやすい」場所を探しているなら、セントポールズベイはまず候補に入ります。島でいちばん大きな町で、住民の多くは外国人。スリーマより家賃はぐっと安く、どこにいても海が近い。正直にお伝えすると、ここが向くのは家族連れ、退職後の方、費用を抑えたい長期滞在者です。夜遊びの中心にいたい人や、職場のすぐそばに住みたい人には、あまり向きません。この記事では、なぜ外国人がこの一帯(セントポールズベイ・ブジッバ・カウラ)に集まるのか、実際いくらかかるのか、そしてどんな人に向いて、どんな人に向かないのかを、在住者の目線でお伝えします。

この記事の要点

  • マルタ最大の町。 セントポールズベイ(ブジッバ、カウラ、シェムシイヤ、ブルマッラードを含む)は、2024年末で住民40,204人。島でいちばん大きな町です。
  • 住民の多数が外国人。 約63%が非マルタ人(およそ25,244人)で、マルタ人は14,960人。外国人がマルタ人を上回る、島でわずか6つの町のひとつです。
  • 東海岸より安い。 2ベッドの家賃は月€1,000〜1,300(約16万〜21万円、1ユーロ≒160円、2026年現在)ほど。スリーマやセントジュリアンズの€1,400〜1,800より割安です。購入価格の指数(NSO)も95.74(ほぼ全国平均)で、スリーマ・セントジュリアンズの約157〜161よりずっと低い。
  • バスは便利、車があればなお良い。 バレッタ(31・45・48・TD13)と空港(TD1)へ乗り換えなしの直通。ただし島の反対側へ横断するのは時間がかかります。
  • ブジッバ広場の工事は完了。 総額€1,000万の再整備は、2025年の間ずっと工事現場でしたが、2026年5月に完成・再オープンしました。
  • インターナショナルスクールは内陸に少し。 モスタのQSIとペンブロークのVerdalaは、車でおよそ15〜25分(交通状況による)です。

なぜ外国人がセントポールズベイ・ブジッバ・カウラに集まるのか

答えはシンプルで、「海のそばの広さを、安く」手に入るからです。スリーマなら手狭な2ベッドで精一杯という家族でも、ここなら同じ予算でもっと広い部屋を借りられます。バルコニー付きで海が見える部屋も珍しくありません。より広く、家賃は安く、暮らしはゆっくり。この組み合わせが、長いあいだ外国人を北へ引き寄せてきました。

この一帯が国際的なのは、今に始まったことではありません。マルタが1964年の独立後に海辺の観光を育て、イギリスが海軍の拠点を縮小していった1960〜70年代から、セントポールズベイは観光と外国人居住の中心になっていきました。ブジッバやカウラのバー街ができたのは1970〜80年代です。もともとはイギリス人の保養・退職の海岸でしたが、今はぐっと国際色が豊か。とくにイタリア人が多く、EUの移動の自由、格安の航空券、そして週末に帰れるほど近いシチリア島が後押ししています。数字にも表れていて、非マルタ人の割合は2021年の54%から、今は63%まで上がりました。

とはいえ、マルタから切り離された、よそ者だけの町ではありません。学校があり、診療所があり、買い物客が行き交う、一年を通して生活のある町です。冬は少し静かになりますが、空っぽにはなりません。

実際いくらかかるか:スリーマ・セントジュリアンズとの家賃比較

この海岸を選ぶいちばんの理由は費用で、その差は本物です。とくに広い部屋ほど、はっきりします。

家賃・購入 セントポールズベイ・ブジッバ・カウラ スリーマ/セントジュリアンズ
1ベッドの家賃(月) €1,000前後から €1,000〜1,300
2ベッドの家賃(月) €1,000〜1,300 €1,400〜1,800
購入価格の指数(NSO) 95.74(ほぼ全国平均) 約157〜161

1ベッドなら差はわずかですが、家族向けの2〜3ベッドになると、この差が「ゆとり」と「ぎりぎり」の分かれ目になります。購入となるとさらに顕著で、NSOの2025年の指数はセントポールズベイが95.74(ほぼ全国平均)、スリーマとセントジュリアンズは157〜161前後。1平方メートルあたり、ざっと3分の2ほど高い計算です。東京で同じ家族向けの広さを借りることを思えば、海のそばでこの家賃は、かなり現実的に見えてきます。予算が決め手なら、いちばん遠くまで届くのは北です。(部屋の探し方や契約の実際は、短期で部屋を借りるにまとめています。)

毎日の暮らし:バス・車・生活の便

日々の暮らしは、大事なところで楽で、ひとつだけ遅いところがあります。バレッタへのバス幹線はとても良い。31・45・48・TD13番がバレッタへ直通、TD1番は空港へ直通で、どちらもバレッタでの乗り換えは要りません。バレッタへの通勤や、車なしの生活は、この幹線がほとんど支えてくれます。問題は、そこから外れたとき。島を東西に横断したり、直通の通らない場所へ行くには、乗り換えを含む長い移動になりがちで、ラッシュ時の渋滞もなかなかのものです。だからこの辺りの住民は、結局は車を1台持つ人も多い。車がいるかどうかは着く前に考えておく価値があり、マルタで車は必要かでくわしく触れています。

日常の買い物や用事には困りません。大型スーパー、薬局、銀行、何キロも続く海沿いの遊歩道、そして一シーズンでは回りきれないほどのレストランがあります。ブジッバの中心はメイン広場。ここは総額€1,000万をかけた長い再整備を経てきました。水道や電気が止まり、歩道がふさがれ、周りの店は客足を落とす。そんな工事現場が2025年の間ずっと続き、2026年5月にようやく完成・再オープンしました。今は工事現場ではなく、海への眺めが開けた新しい歩行者広場です。新しくなった広場が実際どんな場所かは、ブジッバ広場のガイドにまとめています。

ブジッバ、カウラ、セントポールズベイ本体:どこを選ぶか

「セントポールズベイ」とひとくくりにしても、中身は性格の違ういくつかの地区に分かれています。どこを選ぶかは、住所の印象以上に大切です。

ブジッバは、にぎやかで観光色の強い中心。賃貸の物件がいちばん多く、バーやレストランも活気があり、新しくなった広場があって、夏はいちばん混みます。生活の便がすぐそばにあってほしい、季節のにぎわいも気にならない、という人に向きます。カウラは岬をひとつ回った先で、海沿いの便利さはそのままに、もう少し落ち着いた住宅地。湾を囲む古い中心のセントポールズベイ本体と、西の丘へ上がっていくシェムシイヤは、さらに静かで生活感があります。リゾートというより住宅街で、同じ予算でもう少し広いことも多い。おおざっぱに言えば、にぎやかさならブジッバ、中間ならカウラ、静けさならセントポールズベイとシェムシイヤです。

こんな人に向いています

この海岸は、人によって合う・合わないがはっきりします。向いているのは、こんな人です。

  • 家族で暮らす人。 同じ家賃でより広く、海沿いは安全で、いちばん近いインターナショナルスクール(モスタのQSI、ペンブロークのVerdala)まで車で15〜25分ほど。
  • 退職後、のんびり暮らしたい人。 昔からのイギリス人退職者コミュニティがあり、ゆったりした空気、平らな遊歩道、慣れた店やサービスがそろっています。
  • 費用が決め手の人。 スリーマとの家賃・購入価格の差は、マルタの生活費を左右する、いちばん大きなレバーです。
  • 本物の「ご近所」がほしい人。 ここは一年を通して人が実際に暮らす町で、移り変わりの激しい外国人だけの区画ではありません。なじみやすさがあります。
  • 日本から移住を考えている人。 知っておきたいのは、日本からマルタへの直行便がないこと。ドバイなどの湾岸、イスタンブール、ヨーロッパの都市で乗り継ぐのが基本で、片道はおおむね丸1日みておきましょう。だからこそ、行き来を重ねるより、一度の滞在を長めにとる人が多い。腰を据えて住むこの町は、その暮らし方に合います。

こんな人には向きません

一方で、正直にお伝えしておきます。次のような人は、別の場所を検討したほうがよいかもしれません。

  • 夜遊びや、歩いて楽しめる繁華街がほしい人。 スリーマ、セントジュリアンズ、バレッタのにぎわいは、徒歩ではなくバスの距離です。外出が生活の中心なら、その近くに住むほうが幸せです。
  • スリーマ・セントジュリアンズ・スリージで働く人。 バレッタ方面のバスは強いのですが、海岸沿いを横断する毎日の通勤は、マルタの渋滞ですぐに嫌になります。家賃で浮いた分が、時間で消えることもあります。
  • 短期で、にぎやかに過ごしたい人。 セントポールズベイは落ち着いた住宅地で、冬は静かになります。短い滞在で刺激がほしいなら、たいてい東海岸の町のほうが楽しめます。
  • 日本人コミュニティや日本・アジア食材の店が近くにほしい人。 これは島の南寄り(スリーマ周辺)に比べて、この北の一帯はかなり手薄です。日本の食材をこまめに買いたいなら、スリーマ方面まで足を延ばすことになります。
  • バスも車も使いたくない人。 ここでの暮らしは、どちらか一方があってこそ回ります。どちらもないと、静かな地区は少し不便に感じるかもしれません。

移住の準備

北がしっくりくるなら、次の実務はマルタのどこでも同じですが、早めに整えておくと安心です。まず部屋。1年契約を決める前に、地区の違いを知るために短期で借りるのが賢いやり方で、部屋を1〜3か月借りるで流れを説明しています。次に生活の手続き。仕事や仕事探しをするなら、ネット環境は思っている以上に大事で、長期滞在のインターネット・Wi-Fiは日本ほどすぐには整いません。車をどうするかも早めに。どの地区が合うかを左右します。

治安を心配される方もいると思います。マルタは全体に治安がよく、セントポールズベイの海沿いも夜まで穏やか。はじめての海外移住でも、過度に身構える必要はありません。くわしくはマルタの治安にまとめています。部屋・ネット・移動、そしてこの安心。ここが押さえられれば、セントポールズベイはマルタでいちばん腰を落ち着けやすい町のひとつです。

よくある質問

セントポールズベイはマルタで住みやすいですか?

人によっては、とても住みやすい町です。マルタ最大の町で住民の多くが外国人。新しく来た人にも慣れていて、東海岸より家賃が安く、海沿いを歩けて、バレッタへ直通バスもあります。とくに家族連れ、退職後の方、費用を抑えたい長期滞在者に向きます。逆に、すぐそばに夜遊びがほしい人や、スリーマ・セントジュリアンズへの短い通勤を望む人には、やや不向きです。

ブジッバとスリーマ、住むならどっち?

何を優先するかで変わります。ブジッバ(セントポールズベイの一部)は家賃が安く、部屋が広めで、家族向き。広場も新しくなり、冬は静かです。スリーマは割高ですが中心地で、徒歩圏が広く、一年中にぎやか。オフィスや店、夜遊びにも近い。広さと割安さならブジッバ、にぎやかさと短い通勤ならスリーマです。

セントポールズベイの家賃はいくらですか?

2026年現在、1ベッドの部屋は月€1,000前後から、2ベッドは€1,000〜1,300ほど。スリーマやセントジュリアンズの同等の2ベッド(€1,400〜1,800)より割安です。差がいちばん大きいのは、家族向けの広い部屋。これが、東海岸ではなく北を選ぶ、いちばんの金銭的な理由です。

セントポールズベイで暮らすのに車は必要ですか?

必須ではありません。バレッタと空港へは乗り換えなしの直通バスがあり、とくにバレッタへ通うなら車なしでも暮らせます。ただし島をバスで横断するのは遅く、幹線から外れた移動や送り迎えのために車を持つ住民も多い。日々の行動範囲がバレッタ線を超えるなら、車は十分に元が取れます。 ---