マルタの独立系ガイド
Valletta

explore

マルタでトレイルランニング:コースと、暑さと、旅を合わせる価値のあるレース

マルタのトレイルランニングは、木も日陰もない海岸が舞台。走るなら涼しい10〜5月、水は1日2.5〜3L必携です。旅を合わせるなら、2027年5月8日のXTERRAゴゾ島レースをどうぞ。

文:Ken(セントポールズベイ在住)公開日: 2026年8月1日

マルタのトレイルランニング。走りやすいのは涼しい10月〜5月ごろで、夏は木も日陰もない海岸で日中は35℃を超え過酷。コースに水場はないので1日2.5〜3Lの水を持参し、日中の炎天下ではなく夜明けか夕暮れに走る。旅を合わせるなら、2027年5月8日のXTERRAゴゾ島トレイルレースがおすすめ。

マルタはトレイルランニングに向いています。ただし、大きな条件がひとつ。暑さを見越して計画することです。ここは小さくて木のない島。低い崖、海沿いの道、古い城壁が舞台で、実際に走れるコースも、育ちつつあるレースカレンダーもあります。でも、日陰はどこにもほとんどありません。涼しい季節、だいたい10月〜5月に走れば、最高です。真夏の日中に走れば、本物のリスクになります。ここでは、旅行者向けのおすすめコース、日ざしとのつき合い方、そして旅を合わせる価値のあるレースを紹介します。まずは、2027年5月8日、ゴゾ島でのXTERRAトレイルラン世界選手権から。

「trail running Malta」で見つかるほかのページは、素っ気ないレース一覧か、ありきたりなコース集ばかり。でも、ここでいちばん大事なことは、どこにも書いてありません。いつ走るか。そして、どうすれば自分を茹で上げずにすむか。この記事は、そのための案内です。

この記事の要点

  • 向いている? はい。海沿いや崖の上の本格的なコースがあり、レースもそろっています。難点は暑さと日陰のなさ。
  • おすすめの季節: 涼しい季節、だいたい10月〜5月。6〜9月ごろは日中を避けて。
  • 暑さ: マルタは木も日陰もなく、真夏の日中の最高気温は約35〜38℃。熱波では体感40℃超。
  • 水: コースに水場はありません。暑い日に外にいるなら、1日2.5〜3Lを持参。
  • 時間帯: 走るなら夜明けか、日没前の1時間。夏の日中の炎天下は絶対に避ける。
  • 注目のレース: XTERRAトレイルラン世界選手権、ゴゾ島、2027年5月8日。夏の暑さを避けるため、あえて5月開催。
  • ゴゾ島へ: 本島から25分のフェリー。国際線はマルタ国際空港が窓口。

短い答え:走れます。ただし暑さを避けて

マルタに山はなく、木もほとんどありません。だからここのトレイルランは、アルプス的ではなく、海沿いです。低い崖、ガリーグ(地中海の低木の荒地)、古い荷車道、そして歴史ある城壁の上を走ります。たいてい、さえぎるもののない場所で、海を眺めながら、背に日ざしを受けて。

この「開けている」ことが、すべてです。涼しい季節、だいたい10月〜5月なら、素晴らしい。おだやかで、明るく、主要な道をはずれれば静かです。6〜9月ごろは、日中が敵になります。マルタの夏に走れない、という話ではありません。地元の人もレーサーも走ります。ただし夜明けか夕暮れに走り、日中は「立ち入り禁止」と考えます。その一点さえ守れば、マルタはこたえてくれます。

旅行者におすすめのコース

いいコースを見つけるのに、ガイドも車も要りません。とくに3つが際立っていて、どれも歩いても楽しめるので、まずはゆっくり下見もできます。

コース 距離 上り 性格
ディングリ断崖 崖ぞいの周回いろいろ 約250m(マルタ最高地点) 崖の上、大きな海の眺め、完全に開けている
ヴィクトリア・ライン 城壁ぞいに約12〜18km 約190m 長い、歴史的、尾根の上
マイストラル/マニカータ ゴールデンベイから約5km周回 約75m 短い、野生の海岸、赤い粘土の道

ディングリ断崖は、いちばん大きな眺めと、マルタ最高地点(約250m)が魅力。ハジャー・イム(Ħaġar Qim)とムナイドラ(Mnajdra)の神殿、シジューウィ(Siġġiewi)、ラフェルラ十字架(Laferla Cross)をめぐる周回にもできます。ヴィクトリア・ラインは、島のくびれを横切る19世紀イギリスの防御の城壁の上を走れます。尾根の上を約12〜18km、上りは約190m。マイストラル(マニカータ)周回はゴールデンベイからの、短くて野生的な一本。赤い粘土の海沿いの道を約5km、上りは約75mだけです。

はじめの2つの歩きの段取り(起点、バスの番号、そしてラインの崩れたまん中の区間)は、ディングリ断崖とヴィクトリア・ラインの記事にまとめています。3つ目の同じ土地は、ゴールデンベイからアイン・トゥフィーハへ、マイストラルを抜ける道で紹介しています。

暑さ:木も日陰もない。あなどらないこと

これこそ、素っ気ないレース一覧が落としている部分です。マルタは、ヨーロッパで走れる場所のなかでも、とりわけ日ざしにさらされる島です。自然の日陰がほとんどありません。森もなく、木もほとんどない。だからたいていのコースでは、日ざしから逃げる場所がまったくないのです。真夏の日中の最高気温は約35〜38℃。熱波では体感が40℃を超えます。

マルタ自身の世界選手権トレイルレースの主催者が、その理由を代弁してくれています。ゴゾ島のXTERRAトレイルラン世界選手権は、ピーク前の5月に、まさに夏の暑さを避けるため、あえて組まれています。プロが運営する国際レースがマルタの7月を避けて日程を組むのなら、旅行者はそのヒントを受け取るべきです。だいたい6〜9月は、一日の涼しい両端だけ走ってください。

水、時間帯、装備

マルタの走りを安全で楽しいものにする、簡単なルールが3つあります。

まず、水。この海沿いのコースには水場がありません。飲むものはすべて自分で運びます。暑いなかでは、外で過ごす一日で2.5〜3Lを見込み、短い走りでもきちんとしたフラスクやベストを。きっと使います。

次に、時間帯。夜明けか、日没前の1時間に走ります。安全のためだけではありません。低い日ざしは、マルタの赤金色の粘土や石灰岩がいちばん美しく見える時間。つまり、光のいい時間と、安全な時間は、同じ時間なのです。

3つ目は、寒さ対策ではなく日ざし対策の装備。キャップかバイザー、サングラス、しっかりした日焼け止め、そして軽くて通気のいいウェアが、ここではどんな上着より大事です。逃げ込める日陰はありません。だから、着るものと飲む量というかたちで、自分の日陰を持ち歩くのです。

なお、マルタの暑さは日本のような湿気ではなく、乾いた暑さです。そのぶん楽に感じられて、気づいたときには手遅れ、ということも。あなどらず、つらければ早めに引き返してください。

レースカレンダー:XTERRAゴゾ、ウルトラ・マルタ・トレイル、テレックス・リーグ

マルタは、島の大きさのわりにレースが充実していて、旅を合わせる本当の理由になります。どれも英語で登録できます。

目玉は、ゴゾ島のXTERRAトレイルラン世界選手権。次回は2027年5月8日です。このレースは2021年からゴゾ島で毎年開かれ(もとは「エコ・ゴゾ・ウルトラ」)、近年は21kmの海岸コースから、島の海岸沿いに約1,400〜1,500mを上る約50kmのウルトラまでそろえています。小さな島で開かれる世界選手権級の大会で、暑さを避けて、あえて春に組まれています。

より新しく、ゴゾではなく本島が舞台なのが、ウルトラ・マルタ・トレイル(ITRAでは「Malta Trails Half Marathon」として登録)。2026年のイースター週末に349人でデビューし、6km・21km・54kmの3距離を、マイストラル公園、メッリーハ(Mellieħa)、セルムン(Selmun)、ミストラ(Mistra)、ミジエブ(Miżieb)の森を抜けて走りました。主催者は2027年開催を予定していますが、原稿時点で日付は未確定なので、予約前に主催者に正確な日を確認してください。

春には、地元運営のテレックス・トレイルランニング・リーグ(名前に反して放送局Eurosportではなく、マルタのスポーツ連盟が運営)もあります。ナイトレースを含む短めのオフロードレースを、本島の数か所で行うシリーズです。日程は年ごとに決まるので、その季節の最新スケジュールを直接確認してください。

レースを軸に旅を組む

レースが来る理由なら、段取りが2つ大事です。ゴゾ島でのもの(つまりXTERRA世界選手権)へは、本島の北から25分のフェリーで渡ります。国際線はマルタ国際空港が窓口です。カーフェリーと高速フェリーの選び方は、マルタ〜ゴゾ島フェリーの記事で説明しています。目玉のレースは春(4〜5月)なので、ちょうど走りやすい季節に着くことになり、レース本番のまわりに、上のコースの下見ランを気軽に組めます。

マルタで走るのに車は要りませんが、あると起点どうしをつなぎやすいです。要否はマルタで車は必要かで検討しています。マルタは左側通行です。走りに来たついでに長めの滞在にする人も多く、その滞在が英語学習なら、学びながらどこに住むかで滞在先の選択肢をまとめています。どう組んでも、旅全体を決めるルールは同じ。涼しい季節に来て、一日の涼しい両端に走る、です。

よくある質問

マルタはトレイルランニングに向いていますか?

はい。ただし条件がひとつ、暑さを避けて走ることです。マルタに山はありませんが、走れる海岸はたっぷり。ディングリの崖の上の道、歴史あるヴィクトリア・ラインの城壁、マイストラル周辺の野生的な赤い粘土の道などです。島は木も日陰もないので、涼しい10月〜5月ごろは最高、真夏の日中はきつい。それを見越せば、本当に走りがいのある場所です。

マルタで走るのに、いちばんいい時期は?

涼しい季節、だいたい10月〜5月が快適です。6〜9月ごろは日中が暑くて開けすぎているため、地元の人もレーサーも、夜明けと日没前の1時間に走ります。マルタ自身の世界選手権トレイルレースでさえ、夏ではなく、ピーク前の5月にあえて開かれています。

マルタにトレイルレースやマラソンはありますか?

はい、いくつもあります。最大はゴゾ島のXTERRAトレイルラン世界選手権で、次回は2027年5月8日、21kmから約50kmのウルトラまで。本島では、ウルトラ・マルタ・トレイル(Malta Trails Half Marathon)が2026年にデビューし、マイストラルや北部を抜ける6km・21km・54kmの3距離。春には地元のテレックス・トレイルランニング・リーグが短めのオフロードレースを開きます。どれも英語で登録できます。

マルタの夏、暑さのなかで走るコツは?

一日の涼しい両端(夜明けか、日没前の1時間)にだけ走り、日中の炎天下は避けること。水はすべて自分で運びます。外で過ごす一日で2.5〜3Lを。コースに水場はありません。キャップ、サングラス、しっかりした日焼け止めをつけ、軽くて通気のいいウェアを選びます。マルタの暑さは湿気ではなく乾いた暑さで、楽に感じられて、気づくと手遅れになりがち。あなどらず、つらければ早めに引き返してください。 ---