マルタの独立系ガイド
Valletta

explore

ゴゾ島の海岸トレイルを歩く:日数と、どこに泊まるか

ゴゾ島の海岸線を一周する約50kmのトレイル。ふつうは2〜4日で歩きます。ゴゾ島には正式なキャンプ場がないため、多くの人はシュレンディやマルサルフォルンのゲストハウスに宿泊。日程と宿の取り方を在住者が紹介します。

文:Ken(セントポールズベイ在住)公開日: 2026年8月15日

ゴゾ島コースタルトレイル(約50km)を歩く計画。距離、起点、宿泊地、ナビ、ベストシーズンをまとめたカード。

ゴゾ島の海岸トレイルは、島の海岸線をぐるりと一周する約50kmの道です。ふつうは2〜4日かけて歩きます。多くの人がつまずくのが「どこに泊まるか」。というのも、ゴゾ島には正式なキャンプ場がないからです。テントを張るのではなく、海沿いの町のゲストハウスに泊まって道を区切ります。この記事では、ムジャール港からの現実的な日程、なぜここでは野宿ができないのか、みんなが実際にどこに泊まっているのか、そして見落としがちな2つのポイント(ナビと地形)を紹介します。

ゴゾ島の海岸トレイル:ひとことで

  • 距離: 約50km(ルートの取り方で48〜55km)。海岸線を一周します
  • 日数: 2〜4日。3日が定番、4日はゆったり、2日は健脚向け
  • 起点: フェリーの着くムジャール港。バスで行きやすく、どちら回りでもOK
  • 宿泊: ゴゾ島に正式なキャンプ場はなし。シュレンディ、マルサルフォルン、ヴィクトリアのゲストハウスに泊まります
  • ナビ: ひと続きの標識付きトレイルではありません。道標が薄いので、オフライン地図アプリが必須
  • ベストシーズン: 春(3〜5月)か初秋(9〜10月)。6〜8月の暑さは避ける

ムジャール港から歩く、現実的な2〜4日の行程

トレイルは周回コースなので、出発点に戻ってきます。ほとんどの人はムジャール港からスタートします。ゴゾ島フェリーが着く港で、島のどこからでもバスで来やすいからです。ここから海岸線に沿ってぐるりと進み、ラムラ湾、ドウェイラの迫力ある断崖、シュレンディの深い入り江、リゾート地マルサルフォルンをたどって、またムジャールに戻ります。

先に知っておきたいことがあります。これは政府が整備した1本の公式トレイルではありません。Visit Gozoが挙げているのは9つの別々のウォーキングコース(村や史跡をめぐる道)で、私たちがイメージする「海岸トレイル」は、それらの道と海岸線を、ハイカーやGPSアプリがつなぎ合わせたものです。総距離が48〜55kmと幅をもって語られるのは、決まった1本の線がないからです。

よく知られた実際の記録では、3日で歩いています。1日ごとの区切りを見ると、労力のイメージがつかめます。

区間 距離 上り
1日目 ムジャール → シュレンディ 13km 330m
2日目 シュレンディ → マルサルフォルン 18km 510m
3日目 マルサルフォルン → ムジャール 16km 370m

合計で約47km。定番の「50km」に近い数字です。湾でゆっくりしたいなら4日に分けても、体力があって荷物が軽いなら2日に詰めても構いません。1日の距離は控えめに見えますが、「楽そう」と判断する前に、地形の説明を読んでください。

なぜ、途中でテントを張れないのか

いちばん自然な発想、「テントを担いで毎晩野宿する」は、ゴゾ島では通用しません。理由をはっきりさせておきます。マルタで公式の公共キャンプ場は2つだけで、どちらも本島にあります(メッリーハ近くのマルファ・リッジと、アイン・トゥフィーハ)。ゴゾ島には、正式に指定されたキャンプ区域がひとつもありません。

野宿が完全に禁止というわけではありません。理屈のうえでは、地元の役所(ローカル・カウンシル)で許可を取れます。でも実際には、この方法はとても分かりにくいのが実情です。本島のような簡単なオンライン申請はなく、料金は非公式に€30(約5,500円)ほどと言われるだけ。しかも、実際に使ったハイカーの体験談は一つも見つかりませんでした。[VERIFY: ゴゾ島のローカル・カウンシルの現在の許可手続きと料金を確認のこと。メッリーハと違い、公開されたオンライン申請がありません。] 正直なところ、記録に残る多日程ハイカーは全員、野宿ではなく宿を予約しています。マルタの島々でどこなら合法的にキャンプできるかは、マルタでキャンプの記事もどうぞ。

みんなが実際に泊まる場所:シュレンディ、マルサルフォルン、ヴィクトリア

ルートはいくつかの町を通ったり、すぐ近くを抜けたりします。だからテントは担がず、泊まる場所を軸に日程を組みます。主に使うのは3つの町です。

  • シュレンディ — 南西の海岸にある、小さくて谷の深い入り江の町。2つの海沿い拠点のうち、静かで料金も控えめなほうです。ムジャールから歩く1日目の終点にちょうどよい位置にあります。
  • マルサルフォルン — 北海岸にある、大きくてにぎやかなリゾート町。ゲストハウスも食事どころもいちばん豊富。2泊目に自然な場所です。
  • ヴィクトリア(ラバト) — ゴゾ島の内陸にある中心の町。海岸からは少し離れますが、バスでどこへでも行けます。海沿いの町が満室だったり高かったりするときの、頼れる予備です。

目安としては、オフシーズンで1泊€40〜85ほど。シュレンディが安めで、土曜や真夏はぐっと上がります。[VERIFY: 宿の料金は季節で変わります。目安として、日程に合わせて最新の料金を確認してください。] 腰を据えてゴゾ島を拠点にし、区間に分けて歩きたいなら、ゴゾ島を拠点にするの記事で長所と短所を紹介しています。

ナビ:道標はあてになりません

ここはどのガイドも口をそろえるところで、いちばん人がつまずく点です。ゴゾ島の海岸トレイルは、標識がきちんと整っていません。岩に薄く残った赤や青の点が頼りの場所もあれば、何もない場所もあります。「トレイル」といっても、実際はいくつもの道を海岸でつないだものなので、うっかり別の道に入り込みやすいのです。

だからオフライン地図アプリは、あれば便利ではなく必須です。出発前にWikiloc、AllTrails、Komootのいずれかにルートを読み込み、オフラインで使えるよう地図をダウンロードしておきましょう。ないかもしれない標識を頼るより、こまめに自分の位置を確認するほうが確実です。とくにむき出しの区間では、道を間違えると崖沿いに長く引き返すことになりかねません。

地形と安全:岩場、崖、そして1か所の私有地

1日の距離が控えめだからと油断しないでください。ゴゾ島の海岸トレイルには、本物の岩場登り(スクランブル)があります。ムジャール・イシ・シーニの入り江への下りと、シュレンディからの登りは、手も使う場面です。そして崖のふちに沿った、むき出しの長い区間も。足元の確かさが問われます。どのガイドも、これは気軽な家族向けの散歩ではないと言い切っています。しっかりした登山靴を履き、崩れやすい崖のふちには近づきすぎず、強風のときにむき出しの区間を歩くのはやめましょう。

もうひとつ、通行についての小さな注意です。一部の区間は「私有地・立入禁止」と書かれた土地を横切ります。ハイカーの間では、公共の小道が通っている場所ではこうした表示は基本的に気にしなくてよい、という見方が一般的です。ただし1か所だけ例外があります。北西の先端近くの短い私有区間で、ここは少し迂回が必要です。この付近では、無理に柵を越えず、GPSの軌跡と現地の道標に従ってください。

歩くのにいい季節

歩くなら春(3〜5月)か初秋(9〜10月)。6月・7月・8月は避けましょう。ゴゾ島の海岸はほとんど木がなく、日陰もありません。夏の暑さは、むき出しの区間を本当に危険にします。マルタのトレイルランニングを10〜5月のものと考えるのと同じ理由です。日陰がなく、日差しが強く、途中に水場も足りません。春は緑の丘と野の花という楽しみが加わり、初秋なら道中の湾で温かい海に泳げます。たとえば塩田の広がる海岸、ドウェイラなど。いつ行くにしても、水は「多すぎるかな」と思うくらい持っていきましょう。

なお、日本の夏休み(7〜8月)に合わせたくなるかもしれませんが、この時期のゴゾ島の海岸歩きはおすすめしません。どうしても夏に、という場合は、早朝に短い区間だけを歩き、日中は海で過ごすなど、無理のない計画に切り替えてください。

よくある質問

ゴゾ島を一周するのに何日かかりますか?

多くの人は、約50kmの海岸周回コースを3〜4日で歩きます。定番は3日で、1日あたり13〜18kmほど。4日にすると、湾や村でゆっくりする時間が増えます。健脚で荷物が軽い人なら2日でも歩けますが、むき出しの地形や岩場登りがあるぶん、距離の印象より大変です。はじめてなら、余裕をもった日程で計画しましょう。

ゴゾ島の海岸トレイルでキャンプできますか?

かんたんな方法では、合法的にはできません。ゴゾ島には正式に指定されたキャンプ区域がなく、マルタの公式の公共キャンプ場2つはどちらも本島です。野宿にはローカル・カウンシルの許可があるとされますが、簡単なオンライン申請はなく、手続きも分かりにくいのが実情。だから記録に残るハイカーは全員、テントを担がずに、シュレンディやマルサルフォルン、ヴィクトリアのゲストハウスに泊まっています。

ゴゾ島の海岸トレイルはきついですか?

1日の距離は控えめですが、見た目より大変です。本物の岩場登り(ムジャール・イシ・シーニへの下りと、シュレンディからの登り)があり、崖のふちに沿ったむき出しの区間も長く、足元の確かさが必要です。それ以上に大変なのがナビで、標識が整っていません。オフラインのGPSアプリと、しっかりした靴、そして涼しい季節のスタートがあれば、そこそこ体力のある人なら歩けます。

時計回りと反時計回り、どちらで歩くべき?

どちらでも大丈夫で、どの情報源も強くはすすめていません。多くの人がムジャール港から始めるのは、単にフェリーが着き、バスが通っているからです。方向は、毎晩どこに泊まりたいかで決めましょう。3日の計画なら、1日目の終わりにシュレンディ、2日目の終わりにマルサルフォルンに着くように歩くと、宿がほどよく配置できます。決めた方向を、出発前にGPSアプリに入れておきましょう。